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間もなく開業「あるあるCity」~小倉駅周辺はどう変わる(後)

2012年4月25日 07:00

<意外にも全世代対応型>
0425_aruaru_city_2.jpg 今回のハーフオープンでは、かかる周囲の心配を払拭するアイデアの一部も披露されている。「あるあるYY劇場」と名付けられた常設劇場を、同館7階に設ける予定であることが明らかにされたのだ。現時点では「YY」が何を意味するのかについての正式な発表こそないものの、「お笑い常設スタジオ」や「吉本芸人が登場する新番組『あるあるYYテレビ(仮)』(4月23日スタート、月~木深夜各30分間、TVQ)」のスポンサーにアパマンの名があることからすれば、「YY=わいわい(賑わい)=吉本興業」であることは容易に想像が付く。吉本興業の常設劇場となれば、幅広い嗜好を持った若年層が周囲を恒常的に往来することになる。しかも、8月にオープン予定の (仮)北九州市漫画ミュージアムは、郷土の有名漫画家を取り上げるだけに、対象年齢層がやや高めとなろう。

 こうして見ると、先の心配が杞憂であることが徐々にわかってくる。施設の全体像は、むしろ全世代がバランスよく楽しめる構成になっており、先行している「オタクの聖地」というイメージは、あくまで戦略上の強力な長所として捉え直されるべきではないだろうか。

 ところで、今回のハーフオープンでは、多くのイベントも併せて開催される予定だ。
 たとえば、「ARUARUCITY LIVE PROJECT Vol1 "A3"」(4月28日、14:00〜18:00、西日本総合展示場)と題されたライブイベントに招かれるのは、アニソン界のビッグネームばかり。『残酷な天使のテーゼ』や『魂のルフラン』(新世紀エヴァンゲリオン)の高橋洋子氏、『創聖のアクエリオン』を歌う4兄弟ユニットAKINOwithBless4の歌は、曲名を知らずとも一度は耳にしたことがある方が大半だと思われる。ソロのライブイベントでも満員御礼を叩き出す彼らを集めたイベントだけに、遠隔地からのチケット予約も多いとのことで、反響は上々。また、5月の連休初日にあたる5月3日に同館7階劇場において催される「アニソン界のプリンス」こと影山ヒロノブ氏らを招いた昼夜2回のライブイベントが、オープンの活気に華を添える。ちなみに、影山ヒロノブ氏は35年にわたるキャリアを持ち、『電撃戦隊チェンジマン』や『ドラゴンボールZ』の主題歌でお馴染みの男性歌手である。その他、テナントごとの記念イベントが行なわれ、GWを通じて多くの人出が見込まれている。

<地元の協力を受けた官民一丸の産物>
0425_aruaru_city.jpg ショップを含めた施設の充実と多くの話題性を盛り込んだ「あるあるCity」は、少なくとも短期的には大きな成功を収めることが予想される。全国各地で同様のアイデアが生まれては消えていった経緯を考えると、これを企画実行したアパマンの手腕には驚かされるばかりだ。

 他方で、ここに至るまでには、行政や商工会議所、地元商店街など、多くの協力があったことも見逃すことはできない。「北九州市中心市街地活性化基本計画」と「官民一丸」という2つのキーワードのいずれが欠けても、今般の結果には至らなかったと考えられるからだ。

 ここで「中心市街地活性化基本計画(小倉地区)」とは、北九州市が08年7月に国から認定を受けてスタートさせた都心再生プランを意味している。90年代に進んだ地方都市の郊外化を是正し、地方都市の中心部に賑わいを取り戻そうとの考えに沿って制定された「中心市街地活性化法」の下で打ち出された柱は3つ。(1)「広域商業拠点の賑わいの向上」、(2)「昼間人口の拡大による活力向上」、(3)「文化的で非日常的な都心の魅力向上」という3つの目標を、13年3月までの4年9カ月間で実現させる計画であった。

 当初、ラフォーレ跡の再生を最も簡単な部類に入ると考えていた北九州市は、08年度中に着手して09年度には終了する旨の計画を策定。しかし、計画は遅れに遅れ、ようやく漫画ミュージアムの入居方針が決定したのが10年2月、その後も計画変更が重なり、期限半年前となる12年8月の開業予定に漕ぎつけた。ただし、施設が完成しても、13年3月までに(1)〜(3)のかたちで成果をあげなければ意味はない。稼働時間が短いのならば、事前周知を図ることで稼働率を上げる必要が出てこよう。

 そこで商工会議所、地元商店街、アパマンの3者は、昨年10月、商店街のイベントとアパマンのイベントをコラボ(あるあるフェスタ)させ、「あるあるCity」開業予定のPRを共同して行なっている。今年10月には、日本青年会議所(JC)の全国会員大会や「B-1グランプリin北九州」(B級グルメ)などのビッグイベントが目白押しとなっており、ここでの連携も模索されている。北橋市長が「追い風」と称するイベントラッシュを控え、官民一丸となった小倉の町の賑わいづくりは、今しばらく活況を呈することになる。

<人の流れはどう変わるか>
 話を戻し、「あるあるCity」の開業によって、人の流れがどのように変わるのかを検討してみたい。

0425_kokura.jpg 複数の関係者の話を総合すると、「8月のフルオープンまでは、客層の偏りは否めない」とのこと。コアなファン層は目的意識をしっかり持って駅新幹線口の「あるあるCity」を訪れるため、これが駅小倉城口のデパートなどに流れる可能性は低い。西日本総合展示場などでイベントが行なわれればその傾向はさらに強まり、新幹線口だけが潤う事態が予想される。ただ、フィギュアやコスチュームを取り扱うショップ、あるいは非常設の「メイド喫茶」などが商店街のなかに置かれており、これが限定的ながらも導線の役割を果たしていくことになるだろう。

 逆に、フルオープン以降は客層が広がるため、親子連れが小倉城口方面に回遊する可能性が高い。連休が多い秋の時期は、開業効果も手伝って大いに賑わうことが見込まれる。

 問題は、漫画ミュージアムがどれだけの期間、集客力を維持することができるかである。展示物が固定化される施設ではリピート率が下がりやすく、博物館はその最たる例と言える。しかも、同館は市営である。「予算獲得には熱心だが、その後は無関心」(関係者談)という状態に陥れば、北九州市立「いのちのたび博物館」の二の舞にもなりかねない。博物館の無気力が「あるあるCity」全体に波及するようであれば、有害ですらある。受託運営会社の選定とフォローアップを通じて、常に魅力ある博物館であり続けるための努力が求められることになる。

(了)
【田口 芳州】

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