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雨を貯めて雨水の流出を抑制しよう(3)~雨水の有効利用を自宅で実証

2012年6月 8日 07:00
福岡大学工学部社会デザイン工学流域システム研究室
准教授 渡辺亮一氏

<雨水貯留タンク利用による様々な効果と把握>
 ――これまでどういった雨水の研究をされてきましたか?

0608_200.jpg 渡辺 2010年に研究のひとつに、樋井川流域内に200リットルのタンク100個を無料設置し、モニター制度で社会実験を行ないました。各家庭に設置してもらうことで雨水を貯め、降雨が一気に樋井川に流入するのを少しでも抑制するのが狙いです。またタンクの設置前後でどう意識が変わるか試してみました。
 結果として、設置者の雨水の用途目的は水やりなど利水としての割合が高く、治水をあげた家庭は全体の約6割に留まりました。また、全体の75%もの家庭は雨が降る前にタンクを空にしていませんでした。これらの結果より、流域治水対策としてのタンクの利用は進んでいないことがわかりました。

 設置者のなかには「本当にこれで水害を防げるのか」と疑問の声が上がりました。確かに流域全戸に200リットルだとすぐに満杯になり、水害を防ぐには難しいです。この実験の目的は、住民にどれほど雨が降っているか身近に感じてもらうこと、タンクをつけることで水が溜まることを意識してもらうためです。いくら大きいタンクをつけても、使わずに満杯の状態であれば、雨が降ったときに治水することができません。

 ただ設置者の82%が、タンクの設置により降雨への備え・関心が高まったとの回答がありましたし、設置者から情報発信による普及効果が期待され、また雨水タンクが入手しやすい価格や販売体制が整えられていければと考えます。

 もし、水害を防ぐとなると最低どれくらいの貯水が必要か試算もしてみました。私が住む樋井側流域の下水の排水区には1,016件の戸建てがあります。

0608_ziknen.jpg 200リットル、6トン、32トンの雨水貯水タンクを流域内の住宅に設置した場合、降雨強度が70リットル/hの場合、200リットルだと100%普及させても1.7%カットほどで、かなり効果が低いです。現実的に設置すると考えて6トンだと40%(400件)普及させると70%カットと高い割合で、川が溢れないくらいは達成できる可能性があります。今回の雨水ハウスのように32トンほどになると40%普及させると70~100ミリ/hまで降っても水害が起こらない程度までもっていけます。

 樋井側流域付近は山が低いためダムができません。そこで行政が公共事業と考えて、助成金を出して各家に6トンのタンクを駐車場の下に入れるようにしたらほとんど水害が起こりません。行政でも地下の大型排水タンクを作ることをされてますが、それだと建設費と長い年月がかかります。各家庭で雨水タンクを使う人の意識を上げ、タンクが普及できるよう産業にしていきたいと思っています。要は今まであまり雨水が研究されてこなかったのは、企業側が雨水タンクを売っても商売がならないと懸念されてきたこともあります。それをぜひ産業として成り立つようにしたいと思っています。

(つづく)
【石崎 浩一郎】

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